本の紹介

加藤路瑛著『感覚過敏の僕が感じる世界』を読んで

ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準(DSM-5)にある「感覚過敏」について詳しく知ろうとしたら、当事者の話を聞くのが一番だと思います。感覚過敏がない人にとっては、その状態を感じることは出来ないので、彼らがどんな体験世界を過ごしているのかは、当事者の話に耳を傾けることが何より大切なことだと思います。

加藤路瑛さんが体験している世界は、以下のような世界だそうです。                       視覚過敏・・・蛍光灯やスマホの画面、太陽光で体調が悪くなる。                       聴覚過敏・・・大きな音、騒ぐ声、電車や教室等の音で体調が悪くなる。                          嗅覚過敏・・・香水、食べ物の匂い等で体調が悪くなる。                           味覚過敏・・・食べられるものが極端に少ない。                                          触覚過敏・・・服の縫い目やタグが苦手で、服が重く感じる。

感覚過敏への対応方法の参考になる記述として、次のような指摘がありました。                       ファミレスは、いろいろな料理の匂いが混じり合っているので苦手だが、そば屋やカレー屋は大丈夫。土地の名物より、コンビニの塩おむすびが好き。白と黒はコントラストが強すぎてまぶしい。

著者の言う「Neuro Diversity(神経多様性)」:「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて、相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこうという考え」が日本でも浸透していくよう、その力になりたいと思いました。                                                 

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