著者の鈴木大介さんは、41歳で脳梗塞になり、高次脳機能障害になった方です。脳梗塞により脳神経細胞の一部が壊死し、認知や情緒面に不具合が生じた状態になったわけですが、その状態というのが、自閉症の子ども達の様子に大いにかぶるのです。
視線や表情、感情、言葉のコントロールが出来なくなるというのですが、その表現が見事かつ笑えて印象的でした。例えば、視線を外せず凝視し続けてしまうことを「おっぱいガン見男」と命名したり、表情がニヤニヤ、デレデレしてしまったり(感情の脱抑制)、喜怒哀楽のサイズが大きくなってしまい、すぐに泣いてしまうことを「フルタイム涙腺崩壊男」と表現したり。言葉に関しては、「相手の反応も見ずに自分の言いたいことだけを言い切ってしまう。話している途中で自分で何を言っているのか分からなくなる。」と言います。
ということは、自閉症の子ども達も高次脳機能障害の要素があるということなのだろうか?そして、これらの症状を改善する方策が書かれているのですが、これはもう自閉症児支援のあり方と限りなく近いものでした。中でも、「伴走者が必要」という指摘は、私見と一致する内容でした。お薦めします。