黒坂真由子さんが、発達障害の様々な専門家や当事者にインタビューした1冊です。ASDなら本田秀夫先生、ADHDなら岩波明先生、LDなら宇野彰先生というように、大御所ぞろいです。当事者としては、漫画家の沖田×華氏、ニトリホールディングス会長の似鳥昭雄氏等といった面々です。
どの章も核心をついていて、なおかつ分かりやすい内容ばかりです。
当事者の話で特に印象的だったのは、「ジャンパーを着るとランドセルを背負ったと勘違いして、ランドセルを忘れて学校に行っていた。」「相貌失認があるため、母親や夫の顔も見分けられない。」「頭の中で、歯車がいつも30個ぐらい回っている音がするので、とにかくうるさい。」「雑談が出来ない。雑談をする意味が分からない。」「怒鳴られると、なんで怒られているのかは、すっ飛んでしまって、怒られたということだけが残る。」等々(沖田×華氏)
当事者の話を読んだり聞いたりする度に、同じ世界に住んでいながら、そんなにも違う体験世界を過ごしているのかと驚かされます。教員や保育者のほとんどは、定型発達者だと思いますので、指導や支援に携わる際には、ASDやADHD、LDの人々がどんな体験世界を生きているのかを知り、それを踏まえた指導や支援を行いたいものだと思います。出来ないことをただ叱ったり、とにかく訓練させたりする方法では、彼らはただ苦しむばかりだと考えます。
教員はじめ保護者の皆様にもお勧めの一冊です。