本の紹介

池谷裕二著『脳はなにげに不公平』を読んで

薬学者で脳研究者の池谷裕二氏のこの本には、かなり刺激的な内容が盛り込まれています。「顔は性格を反映する」とか「ウソは目でバレる」などなど。

中でも「DNA変異は父親の年齢が鍵に」は、超刺激的な内容でした。約38億年前に誕生した地球上の生物は、DNA配列が変化を続けて現在の生態系ができあがったわけですが、親から子にDNAが受け継がれる時に起こる複写ミスが種の進化の原動力なんだそうです。人間の場合、一世代で約70個のDNAの複写ミスが起きているそうです。

DNA変異の原因は、父親の精子が大きく関係していて、父親の年齢が1歳上がる度に+2個のDNAが変異するというのです。ということは、父親が高齢の方が、ヒトの進化を早めるということになるのでしょうか?一方で、父親が高齢だと統合失調症や自閉症のリスクを高めるという研究結果もあるようなのです。

池谷裕二氏は、次のように結論づけています。「ヒトは進化と疾患の絶妙なバランスのうえに生きている。」と。我々人類は、どんな生き物に進化していくのでしょうか?

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