ご存知、エリック・カール著『はらぺこあおむし』を英語と日本語の両方で読める本です。
この本を読んで最初に感じたのは、英語の文章は「神の視点」で書かれていて、日本語の文章は「誰かの視点」で書かれているという文化の違いです。また、英語の文章は、粋なほど韻を踏んでいるということに改めて気づかされました。さらに、このあおむしは、「オス」だったのですね。Heが使われていますので。日本語訳では、ずっと、「あおむし」のままなので、オスなのかメスなのかは分からないことになっています。
訳の難しさも痛感しました。あおむしがさなぎになって何日も眠るシーンは、英語表現の厳密さと日本語表現のおおらかさという比較文化論を垣間見た気分でした。原文が「He build a small house, called a cocoon, around himself.He stayed inside for more than twe weeks.」(間宵直訳:彼は自分の周りにさなぎと呼ばれる小さな家を作りました。彼はその中で二週間以上も過ごしました。)なのに対し、日本語訳は、「まもなく あおむしは さなぎになって なんにちも ねむりました。」なんです!訳者のもりひさしさん、おそるべし!