本の紹介

『ニューロダイバーシティと発達障害』正高信男著(北大路書房)を読んで

この本には、天才でなおかつ発達障害だったのではないかと言われている有名人が多数登場します。

アインシュタイン、レオナルド・ダ・ビンチ、エジソン、グラハム・ベル、ウォルト・ディズニー等々。

著者は、どの天才達も、「脳の障害を克服して偉業を成就させたのではなく、障害を負っていたゆえに、偉業を成し遂げることができた」と言います。例えば、アインシュタインには、頭頂葉に障害があったために、「一時的に言葉を心の中にプールして、物事を言語によって処理する働き」が障害されていたらしい。いわゆる、ワーキングメモリーシステムの「音韻ループ」に障害があったために、視覚イメージをループさせる「視空間スケッチパッド」の機能が拡張されたと言うのです。言葉で考えることが苦手だったために、視覚イメージ能力が開花し、ひいては、他の誰もがイメージできなかった宇宙の姿を頭の中に映像として創り上げることができたのだと。なるほど、そういうことだったのか!?

また、レオナルド・ダ・ビンチは学習障害(LD)だったと推測され、他人の声も自分の声も覚えておくことができなかったがために、何でも記録するメモ魔だったらしいのです。LDがったからこそ、その代償作用として視覚イメージ能力が開花し、素晴らしい絵画を残すことができたのだと。

ということは、いわゆる天才とは、一方に障害レベルの苦手さがあり、それを補う別の能力が秀でることで、様々な分野の偉業を成し遂げた人々ということになるのでしょうか。

苦手なことを頑張って改善するより、得意なことをさらに伸ばすことの方が、天才をつくるには相応しい対応と言えそうですね。また、天才レベルでなくとも、様々な凹凸のある子ども達を無理なく成長させるのには、この考え方は有効だと私は考えます。

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