
モンテッソーリ教育というと、様々な著名人が受けたというのが、まず目に止まってしまいます。グーグル創業者のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン、アマゾン創業者のジェフ・ベソス、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ、そして、藤井聡太棋士等々。しかし、イタリアで女性初の医学博士になったマリア・モンテッソーリは、ローマ大学附属の精神病院で知的障害児の教育に取り組んだのがそもそもの始まりだったのです。そこでの成功を今度は、スラム街の子ども達に応用したのでした。イタリアで最初に建てられた「子どもの家」という名の幼稚園では、スラム街の子ども達に画期的な方法で教育し大成功します。さらにそれを、一般の子ども達に発展させたのが、いわゆる「モンテッソーリ・メソッド」なのです。
そういう経緯を考えれば、モンテッソーリ教育は、発達障害児と相性が良いと言えると思います。この本の中の「モンテッソーリ教育と現代科学のコラボレーション」で述べられている内容は、限りなくTEACCHプログラムの内容に近く、構造化や視覚支援等の具体的な環境設定を提案しています。また、「発達障害児の遊びを促す簡単レシピ」の中で紹介されている課題も、TEACCHプログラムで使われているプットイン課題や弁別・マッチング課題とほとんど同じものです。もしかしたら逆に、TEACCHプログラムの中で使われている様々な作業課題は、モンテッソーリ教育で使われていた遊具を応用したものなのかもしれません。だとしたら、私が学んできたTEACCHプログラムは、モンテッソーリ教育のエッセンスを多分に含んでいるのだと思います。
モンテッソーリ教育関係者もTEACCHプログラム関係者も手を取り合って、発達障害のある子ども達の健やかな成長に尽力してほしいと思いました。似たような立ち位置にいる者同士が協力し合えないことほど、もったいないことはないと考えます。