本の紹介

『マンガでわかる発達障害の子どもたち』本田秀夫著(SBCreative)を読んで

あの本田秀夫先生が、漫画家のフクチマミさんとタッグを組んだ、具体的で分かりやすい一冊です。20の具体例をマンガで描いているので、子どもの表情や雰囲気まで伝わり、本当に分かりやすいです。

例えば、「特定の子と一緒になると、いつもケンカになる」「いたずらを注意されると、むしろ調子に乗る」「園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる」「タンスに登って飛び降りるので、危ない」「ささいなことで、かんしゃくを起こす」「偏食があって、なかなか変わらない」等々。

幼稚園や保育園での巡回相談で私が質問されることが多く記載されていたので、答え合わせの感覚で読みました。
私がいつも回答している答えとほぼ同じ内容の回答がほとんどだったので、かなり安心しました。しかし、「偏食があって、なかなか変わらない」の回答が、ズバリ「指導の必要なし!食べられるもので栄養をとればいい」というのは、保護者や園の先生方に素直に受け入れられるかなぁ、と感じました。私自身、超偏食の子ども達と何年も関わってきましたので、そしたら給食は一切食べないで弁当持参になってしまうと思ったのです。食べ物の温度にもこだわりがあると、持参した弁当が冷えていると食べられるものでも、食べないということもあるのです。

ちなみに、この偏食に関する質問には、私はいつもこう答えています。まず、給食の中に食べられるものがあるのなら、それを多めに出してあげてください。白米が好きなら白米を、パンが好きならパンを他の子どもより多めに出してあげるのです。というのも、給食のおかずは、様々な食材が混ざっているものが多く、混ざっているというだけで食べられない子どもが多いからです。そして、この混ざっているおかずをもし可能なら、食材ごとに分けて出してあげてほしいのです。すると、食材によっては食べられることがあります。食べられるものでも、他の食材と混ざっていると途端に食べられなくなるのです。

もう一つは、好きな食感に近づけてあげると、苦手なものも食べやすくなります。偏食のある子どもの多くは、あんかけやシチューのようなどろっとした食感が苦手です。まとわりつくような食感は、彼らにとっては刺激が強過ぎるのかもしれません。一方、カリカリとした歯ごたえがいい食べ物を好んで食べる傾向があります。その代表格がポテトチップです。以前勤めていた特別支援学校で調査したのですが、偏食がある子でものほとんど全員がポテトチップは好きでした。給食でもポテトチップを出せたらいいのになぁ。でも、スナック菓子のイメージが強いので難しいみたいですね。当時、学校の栄養士さんに頼んでみたのですが、あっさり断られてしましました。

給食のジャガイモ料理と言えば、ポテトサラダが有名ですが、偏食のある子どもには人気がありません。ポテトサラダだったらコロッケを出してほしいですね。衣のサクサク感が好きなので、食べられる子が多いです。

中には、食材の色にこだわって食べている子どもがいます。例えば、白米、うどん、牛乳、ヨーグルト、カルピスといった白い食べ物や飲み物なら飲食可能という具合です。この場合は、この色のこだわりを利用するといいと思います。白い食べ物や飲み物って探せば結構ありますよ。餅、大根、白ネギ、えのき、カリフラワー、山芋、豆腐、白身魚、リンゴ、なし、ソフトクリーム等々。園や学校でも、そして御家庭でも試してほしいと思います。

本の紹介のつもりが、偏食への対応方法の話になってしまいました。ごめんね、ごめんね~!

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