本の紹介

『暗闇でも走る~発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由~』安田祐輔著(講談社)を読んで

発達障害(ASD・ADHD)の当事者で、父親のDV、一家離散、不登校、ひきこもりの経験者が、不登校や中退者向けの進学塾を立ち上げた実話です。

家族からも社会からも必要とされていない苦しみがいつもあった著者は、「何のために生まれてきたのだろうか」という問いがいつも頭から離れなかったといいます。壮絶な幼少期を過ごした著者なら、それは当然のことと思います。私自身は病弱だったけれども、それなりに幸せな家庭で育ちました。しかし、著者と同じように、自分は「何のために生まれてきたのだろうか」という問いを幼い頃からずっと考え続けていました。

私の場合は、進学した地方の国立大学で出会った自閉症児の不思議さと魅力に魅せられて、養護学校(現在の特別支援学校)の教員になることを決意したのですが、この著者の場合は、人生をやりなおすために猛勉強して国際基督教大学に進学したのでした。高校時代は全く勉強をしなかったために、2浪して受験勉強に取り組むのですが、毎日13時間勉強したというのには驚かされました。

そして、自分と同じように苦しんでいる子ども達のために、不登校や中退者向けの進学塾を立ち上げることになります。その進学塾を立ち上げた根底には、「何度でもやり直せる」社会をつくりたいという大きな夢があるのでした。自分の経験した苦しみをバネに社会課題を解決しようというその生き様に心を打たれました。

2022年の内閣府調査によれば、日本国内には約146万人(15歳~64歳)のひきこもり者がいるそうです。不登校は、小学校で約13万7千人、中学校で約21万6千人、高等学校で約6万8千人(2024年)もいて、年々増加傾向のようです。これは、大きな社会課題だと思います。進学するだけが望ましい解決方法だとは思いませんが、ひきこもりや不登校で苦しんでいる一人一人にとって、自分は「何のために生まれてきたのだろうか」という問いへの答えが見つかることを心から願っています。

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